名刺の誕生と現代の活用法
名刺は紀元前2世紀の中国で誕生したと言われます。当時は不在者に訪問したことを知らせるため、木や竹の札に名前を書いて玄関にさして知らせる役目を果たしていました。この札を刺と言ったことから名刺の語源となりました。その後ヨーロッパを経て日本に伝わったのは19世紀頃です。やはり当初は不在時に訪問を知らせるため、墨で名前を書いた和紙を置く風習だったそうです。
現代では会社員だけでなくあらゆる生活シーンで使われ、日本は世界でも有数の名刺消費大国となっています。名刺はビジネスマンが使うケースが多いですが、プライベートやサービス業でもコミュニケーションツールとして活用されています。
プライベートで使用する際の掲載情報としては名前とメールアドレスやホームページのURL、SNSのIDなどを記載すると後で連絡が取れ易くなりますが、電話番号や住所などコンプライアンスに関わる内容が記載されたものは渡す相手に注意が必要です。
両面印刷にすれば表面に必要な情報を、裏面には写真やイラストを入れて印象深くしたり、裏面をメモ書きできるようにしたりするなど、その活用法は様々に展開できます。特にサービス業において、財布や手帳に入れられるサイズの名刺は多いに活用できます。両面印刷してお店の名前や電話番号、住所を表面に、裏面には割引券やサービス内容を印刷すれば、お客様は捨てずに持ち帰り、再来店の期待ができます。
このような場合、自分でパソコンを使って作ったものでは品質が劣化してそれ自体の価値が台無しになりかねません。お客様に好印象を持ってもらうためにも、色々なノウハウを持ったプロの印刷会社に依頼することで、こだわりの加工をして個性ある名刺を作ってもらえます。
名刺の加工の種類
名刺は片面のみの白黒印刷の他、両面白黒印刷や両面カラー印刷、さらに片面だけカラーなどもあります。スタンダードサイズの他に色々なサイズのものがあり、さらに2つ折りや3つ折り、4つ折りなど受け取る時の印象を強くできるものも選べます。しかし、受け取る相手側が整理したり収納したりすることも考慮に入れ、煩わしく感じることのないよう注意しましょう。
台紙の加工方法も多種多様なものがあります。四隅の角を丸くする角丸加工は見た目の印象が優しく、小さな子供にも安心なので小児科の診察券などに適しています。
一枚にインパクトを持たせるデコレーション加工があります。エンボス加工は凸型に突出して、デボス加工は凹型にへこむもので印象がくっきりするので差別化ができます。反対面に凸凹が出るので両面印刷の場合は注意が必要です。箔押し加工はロゴやデザインを目立つようにでき、高級感が出るので招待券やチケットなどにも適しています。これらデコレーション加工は金型費用が別途発生したり、単価に金型代が含まれたりする場合もあるので見積もりをチェックすることが大切です。
ミシン目加工は手で簡単に切り離せるミシン目状の切り込みができるもので、名刺に割引クーポンやチケットなどを組み合わせることができ、サービス業で使用する場合に重宝されます。
PP加工は接着剤を塗布して紙とフィルムを圧着して貼り合わせるもので、耐久性や耐湿性が向上し見栄えが良く高級感が出せます。ツヤの出るグロスPPとツヤのないしっとりした質感のマットPPがあります。ラミネート加工は台紙を透明フィルムに挟み込んで熱でコーティングするものです。これらは耐水性や耐久性に優れています。このように色々なタイプの加工があるので、用途を考慮して最適な物をチョイスすると良いでしょう。
名刺を作る
自宅にパソコンとプリンターと用紙さえあれば、自分で手軽にデザイン出来て印刷代やデザイン代を抑えることができます。しかし素人の作成するものにはクオリティ面での限界があります。せっかく作った名刺が安っぽいものだと先方からの印象が悪く映りかねません。
プロと素人のものとの違いは、デザイン感覚の差、作成ツールの差、用紙の品質差など様々です。多少時間と費用が発生してもプロの印刷会社に任せてハイクオリティなものを作った方が、自分や会社の信頼度アップにも繋がります。
ではどんな会社に依頼すれば良いのでしょうか。良いモノづくりを続ける会社は顧客信頼度があり実績を積んでいます。会社の実績がモノを言います。営業職の人などは、名刺は消耗品ですのでその費用はバカになりません。実績があって安い会社を選びましょう。納期が早く柔軟な対応ができることも重要です。いざという時に名刺が切れていました、ではせっかく訪れたチャンスを潰しかねません。
印刷会社を選ぶのと同様に、印刷方法を選ぶ必要があります。印刷にはオフセット印刷とオンデマンド印刷とがあります。オフセット印刷は一般的なカラー印刷で、チラシやパンフレットなど繊細な絵柄や文字で大量の印刷物に適しており、少量の印刷では割高になってしまいます。オンデマンド印刷は粉末トナーを使用して版を使用しないので安い費用で済みます。部数が多くなると料金が高くなるケースがあるので注意が必要です。