初めて先方と顔を合わせるときに行う、名刺交換。1対1であればシンプルですが、自社側が複数人で先方を訪れる場合もありますし、先方が複数人いる場合もあります。名刺交換は、2人以上で行う場合にも渡す順番が決まっています。渡す順番を間違えてしまったり、あるいは順番を間違えぬようにと慌ててしまったりすると、先方によくない印象を抱かせてしまうかもしれません。第一印象をよいものにするためにも、複数人で交換をする際のルールを把握しておきましょう。
まずは準備が大切。枚数や立ち位置を確認
1対1の名刺交換であれば、交換をする段になってから名刺入れを取り出してもスムーズに進められますが、相手が複数人であればそうはいきません。1枚を取り出して交換し、また1枚を取り出して、とすると手間がかかり、もたついているという印象を与えてしまいます。
名刺は、交換をする前に先方の人数分を名刺入れのふたの下に入れておきましょう。そうすることで、いちいち取り出す手間を省けます。また、人数がすぐにはわからない場合やすぐさま取り出さなければならない場合は、目算で多めに見積もって取り出しましょう。
立ち位置も重要です。複数での名刺交換は目上の人から行いますので、こちら側は必ず役職順に並んで先方と対面するようにしましょう。交換するときになって立ち位置を入れ替えるより、最初からきれいに並んでいた方がスマートに見えます。
複雑に見えてシンプル。名刺交換の順番
複数人で名刺交換を行う際は、必ず目上の人から順番に交換していきます。つまり、こちらが1人で先方が担当者とその上司というシーンであれば、まずは上司の方と交換を行い、次に担当者と行います。ここで、自分側も上司と一緒で2対2というシーンになると一気に複雑になるように思えますが、基本は3人のシーンと同じです。
以下に、2対2のシーンにおける名刺交換の順番を示します。ここでは、こちら側が営業にて先方へ出向いているシーンを想定しています。
- 1. 先方の上司と、自分の上司
- 2. 先方の担当者と、自分の上司
- 3. 自分と、先方の上司
- 4. 自分と、先方の担当者
この順番になるのは、自分の上司より先方の担当者の方が目上だという解釈になるからです。この場合、先方の担当者より自分の上司の方が明らかに年上、あるいは役職が上だとしても、先方の担当者の方が目上となります。なぜなら、ビジネスシーンにおいては“相手にお願いされてお金を出す方”が目上だと判断されるからです。このシーンではこちら側が営業として出向いていますので、“お金をもらう方”となります。逆のシーンで、こちら側が先方の営業を出迎える形であれば、上記の2と3が入れ替わります。
上記2対2の例においては、2と3は同時に行ってもよいとされています。しかし、交換の際の並び方によっては2と3を同時に行おうとすると立ち位置を変える手間がかかるので、順番に進めていくのが無難です。
このようなとき、名刺交換を行う2人の間においては“目下の人が先に名刺を差し出す”ということを忘れないようにしましょう。複数人で交換を行う場合は目上の人から交換を行いますが、その2人の間でも“目下の人が先に”というルールは変わりません。こちら側が出向く際は必ずこちら側から名刺を差し出し、先方が出向いてくる際は先方が差し出すのを待ちましょう。
名刺を受け取る動作にも注意が必要です。複数人の先方から名刺をいただく際は名刺入れの上で受け取り、その後ふたの下へ移動させ、次の人のものをまた上で受け取るようにしましょう。これは、名刺を重ねて受け取ることが失礼に当たるからです。この場合は自分の名刺もふたの下に構えておくことになるので、複数人を相手に交換を行う際の練習をしておくと、誤って取り落とすなどの失敗を防ぐことができます。
堅く考えすぎる必要はない。名刺の並べ方
交換をした直後に先方の名刺を仕舞うのは失礼に当たるため、テーブルに並べます。複数人の場合の並べ方に絶対的な法則はありませんが、ある程度のルールを把握しておく必要はあります。
名刺は、先方の着席順に並べましょう。役職順に並べるよりも、着席順に並べてできるだけ早く先方の顔と名前を覚える方が優先されます。
名刺入れの使い方にも注意点があります。1対1の場合は先方の名刺を名刺入れの上に乗せますが、複数人の場合は最も役職の高い人のものだけを上に乗せます。ただ、役職の高い人が誰なのかわからない場合、人数がかなり多い場合などには、全てをテーブルの上に並べても問題はありません。
名刺は顔と名前を覚えるまでテーブルの上に置いておくのが基本ですが、書類を広げるなどの都合でスペースを確保できない場合は鞄のなかに収めても問題ありません。ただ、この場合は一言断ってから収めるようにしましょう。
スムーズな商談のために
以上の注意点を押さえておくことで、名刺交換をスムーズに進めることができます。交換がスムーズだとその後の話もスムーズに進めやすくなるので、複数人で交換を行う際は参考にしてみてはいかがでしょうか。